<卓話>「天正遣欧使節をさるく」――――有田康雄会員(5月8日)

 番組制作との関連もあり、去年の冬から年明けにかけて、天正遣欧使節の足跡をたどる機会があったので、共有します。

 1つは、ツアーです。去年の冬、番組の下見がてら遣欧使節の足跡をたどるツアーにプライベートで参加しました。

 もう1つは番組です。NHK長崎放送局では、映画「テルマエ・ロマエ」の原作のコミックなどでご活躍のヤマザキマリさんを旅人に招き、ヨーロッパロケを敢行しました。宣伝めいて恐縮ですが、ご好評をいただき、ちょうど明後日BSで全国放送いたします。

 本日は、この二つの経験、使節に関する情報を行ったり来たりしてお話ししながら、長崎の未来に向けて何ができるか、考えてまいりたいと思います。

 天正遣欧使節は、伊東マンショ以下、4人。正使が2人、そして副使が2人います。旅の途中で死んだ場合の予備がそれぞれいる。随行員も含めると12人の使節団でした。織田信長がまだ生きていた1582年に日本を出発。ローマ教皇への謁見を果たして、8年半もかけて長崎に戻ってきました。命がけの大旅行でした。

 8年半にもわたる大旅行ですが、なにせ動力が風しかない時代、あちこちで何か月も季節風待ちをします。中には、アフリカ沖で海賊を避けるために奮闘していたら、季節風が終わってしまって近くの島に半年も置き去りになったという悲劇もありました。

 ヨーロッパへは、ポルトガルに上陸。スペイン、イタリア各国と進み、大歓迎をうけています。

 天正遣欧使節は、いま長崎でも忘れられていますが何かを信じて行動することの素晴らしさなど現代においても素晴らしいメッセージを放ちます。

 嬉しいことに、ヤマザキマリさんが天正遣欧使節の漫画を描くことを決意しています。

 彼女の熱に火をくべつづけて執筆を実現してもらい、作品を通じて天正使節の歴史的価値の再構築と長崎の活性化につなげていければと考えています。