「長崎歴史文化博物館20周年を 迎えて」ーーー水嶋 英治会員(11月20日)
長崎歴史文化博物館は20 周年を迎えることができた。 これも皆様のおかげ。長崎 市の資料館とか産業奨励館 といった源流を数えると百数十年の歴史。本館は約87 億円のイニシャルコストを 長崎市と県が半々負担、年間5億円の運営費 で経営。県からの補助は70%、30%は指定 管理者が自ら稼ぎ出さなければならない。 公設公営から公設民営への移管が日本でも 始まっている。企業が公設施設を運営する メリットは、民間の活力を使い、行政では できないダイナミックな展開をするという もの。しかし官庁の制約も厳しく苦しい 思いもあるが多くの方の協力も得ながら 経営している。
博物館には2つの顔(表と裏)がある。 表は展覧会、教育普及活動。裏の仕事として は保存修復があり、例えば、長崎大水害で 水没してしまった古文書類の修復など。20年以上 こつこつとやっているというのは全国でも 例がない。
展覧会は20年間で約200件。 ※記念誌(P14~27)ご参照。 長崎大万華鏡(開館記念、準備が大変だっ た)、くんち三七二展、シーボルトの水族館、 坂本龍馬伝(開館以来一番入場者が多い)、 中国福建博物院、恐竜展(赤字にならない のは恐竜展とフランス印象派展の2点だけ。集客には フランスという言葉を入れることが大事)、 篠山紀信展(キスのポスターで大論争あり)、 田中達也見立ての世界(館長着任後最初の 展覧会)、西九州新幹線開業記念展、長崎 の黄檗、現在ポケモン展を開催。入館者は 近々850万人になる。69カ国の海外来館者 あり。
裏方の仕事として修復した資料は 2600件。古文書等の修復で枚数にしたら1~ 3万枚かもしれない。歴史文化財を未来に つなげる、地域を繋ぎ、笑顔で繋ぎ、未来 につなぐ仕事。長崎のブランドを創出する (文化を守り、人を育て、地域の人たちの アイデンティティを形成するという)役割 を持っている。
調査研究については、歴史と文化を掘り 起こす、深掘りする、気付かせるブランドと いう点で大事。本館の経済波及効果について は試算で約402億円(年間20億円)。美術館 との相乗効果を考慮すると更なる波及効果が あると推定。 最後にブランド創出効果について。
20周年 を迎えて、単なる展示施設としての役割を 超えて、県全体のブランド価値向上に寄与 してきたと考えられる。本館の活動が県全体 の認知度や評価に繋がっていると推察。奉行 所は風格ある場所ゆえもっと宣伝したい。
(濵本会長質問) 予算をいくらでも使っていいとなったら、 どうされたいか?
(水嶋会員) 将来を考えると人を育てることがこれ からの投資だと思う。オランダ、ポルトガ ル、イタリアといった長崎にゆかりのある 留学生に研修を行い、自国、友達経由で 全世界に発信してもらう長崎アンバサダー を作りたい。歴文シンパとなってもらい、 観光大使として発信してもらうことで長崎 ブランドを浸透させていく活動をしたい。
