「農業・流通・雇用をつなげる地方創生への挑戦」―――長崎でじま青果株式会社 代表取締役社長 加藤 清紀氏(10月16日)
私たち長崎でじま青果株式会社は、昭和47年の創業以来、長崎の青果物流通を支えてまいりました。1972年に「長崎大同青果」として設立され、2023年に「長崎でじま青果」へと社名を改めました。設立当初54名だった従業員は120名へと倍増し、取扱高は2015年度の 78億円から2024年度には176億円へと成長を続けております。
出荷数量も3万1千トンから5万5千トンへと拡大し、長崎の農業の成長とともに 歩んでまいりました。
当社の使命(Mission)は「未来市場として地域社会を発展させる」こと。地方の活力をもう一度取り戻し、農業・流通・雇用をつなげる「地方創生のリーダー企業」を目指しています。私自身、中央大学卒業後に東京で不動産・人材事業に携わり、全国の企業の採用支援を行ってきました。故郷・長崎にUターンして経営再建を担った際に痛感したのは、地方の課題は“人と仕事の循環”にあるということです。だからこそ、青果という一次産業の根幹を軸に、地域の雇用・教育・デジタルを結びつける仕組みづくりに取り組んでいます。
この10年でM&Aや新規事業開発を重ね、業績を倍増させることができましたが、 それは数字以上に「信頼・感謝・大志」という当社の価値観を大切にしてきた結果だと感じています。人を信じ、地域に感謝し、大志を持って挑戦し続ける。この姿勢が私たちの原動力です。
新たな挑戦として、国内初の「ブロッコリー完全契約選別加工場」を立ち上げました。2016年にゼロから始めたこの事業は、現在130名の契約生産者とともに180haの作付面積を持ち、取扱金額は10億円を超える規模に成長しました。単に“売る”のではなく、生産者とともに“育てる”流通を目指しています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも力を入れています。Chatworkやkikitoriなどのツールを導入し、情報共有や業務効率化を進めることで、青果流通の現場にデジタルの力を浸透させています。これにより、農家・市場・消費者をデータでつなぐ「見える化流通」を実現し、地域農業の次世代化を後押ししています。
2025年には、東京営業所の開設とともに「人材紹介・派遣事業」および「AIリクルーティング事業」をスタートします。生成AIを活用したマッチングプラットフォーム「AIキャリア」を通じて、地方企業の採用課題をワンストップで支援し、地域人材の流動性を高める取り組みです。すでに流通・農業・BPO業界などで導入が進み、応募数減少や選考辞退といった課題を改善する実績も出ています。
青果流通という伝統産業に、DXと人材育成という新しい風を吹き込みながら、「長崎から日本を元気にする企業」であり続けたい。これからも社員一人ひとりが誇りを持ち、地域に必要とされる存在であるために、挑戦を止めることなく前進してまいります。
